説明にまごつく証人 苛立つ裁判長「もう一度」 SS元船長初公判ライブ(産経新聞)

【法廷ライブ SS元船長初公判】(10)

 《調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」の船員だった男性証人に対する弁護側の証人尋問が続く。男性弁護士は環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」元船長のピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)が酪酸入りの瓶をランチャーで撃ち込んできたときの状況を質問する》

 弁護人「顔が痛いと感じたとき、上の方から水は降ってきましたか」

 証人「分かりません。波しぶきがあって、あたりは水浸しでした」

 弁護人「ランチャーを撃った後、何かが割れる音は聞こえましたか」

 証人「ガラスが割れるような音は聞いていません」

 弁護人「顔に痛みを感じた後、船内に入るために上甲板を歩きましたよね?」

 証人「はい」

 弁護人「その間に足の裏でガラス片を踏むような感じはありましたか」

 証人「感じませんでした」

 《ここで別の男性弁護士が立ち上がり、質問を続ける》

 弁護人「シャワールームに入ったとき、『異臭がすごかった』と言いましたよね?」

 証人「はい」

 弁護人「シャワールームには最初に入ったのですか」

 証人「思いだせません」

 弁護人「人はいましたか」

 証人「いたような、いなかったような。どちらがどっちとは言えません」

 弁護人「(起訴状で顔面を負傷したとされている)乗組員とは一緒に入りましたか。ほかに痛みを訴えた人と3人で同時に入りましたか」

 証人「それはないです。同時には入っていないと思います」

 弁護人「シャワールームで顔を洗うように指示がありましたか」

 証人「はい」

 弁護人「誰の指示ですか」

 証人「□□甲板長(法廷では実名)でした」

 弁護人「シャワールームで声を掛けてきたのですか」

 証人「デッキ上です」

 《弁護人は、酪酸で被害が出たとする証人に当時の経緯を詳しく聞きたいようだ》

 弁護人「シャワールームで軟膏(なんこう)を塗りましたか」

 証人「『シャワールームで軟膏を塗った』とは一言も言ったことはないです。船橋(ブリッジ)で塗りました」

 弁護人「何という薬ですか」

 証人「最初に塗った軟膏の名前は覚えていません。2回目に塗った軟膏は(調査捕鯨船団の)ほかの船からもらいましたが、その名前は××軟膏(法廷では商品名)です」

 《弁護側は××軟膏をほかの船からもらった経緯について質問を重ねる。証人が説明にまごつき、多和田隆史裁判長がいらだったような表情をしながら証人を指さし、「もう1度答えて」などと促す》

 《証人は第2昭南丸がほかの船に接近してロープを渡し、ロープで袋に入った軟膏を引き寄せたことを説明した。弁護人は質問の内容を変える》

 弁護人「日本に帰ってから診察を受けたと言っていましたね?」

 証人「はい」

 弁護人「何のためですか?」

 証人「それは…アレです」

 《女性通訳が口を挟む。今回の証人尋問ではよく目にする場面だ》

 通訳「アレって、どういう意味ですか」

 証人「診断してもらうために行きました」

 弁護人「そのとき、けがは治っていましたか」

 証人「はい」

 弁護人「診断してもらう必要があるんですか」

 証人「体のことですから…」

 弁護人「どうやって診断したんですか」

 証人「(医師は)顔の状態と写真を見ました。そのときの状況を伝えました」

 《写真とは何か。やや言葉足らずの感もある証人に多和田裁判長は再び不機嫌になっていく》

 裁判長「あなたが写真を持って行ったの?」

 証人「いいえ。検事さんと一緒に行きました」

 裁判長「検事と一緒に病院に行き、(被害直後の)写真を見せたわけ?」

 証人「はい」

 弁護人「最後の質問です。(酪酸を浴びたときに着ていた)レインコートは処分しましたね?」

 証人「はい。(ほかの乗組員に)『くさいだけだから』と言われました」

 弁護人「いつ処分しましたか」

 証人「たぶん2月12日だったと思います」

 弁護人「翌日ですね」

 証人「はい」

 《続いて検察側の最終尋問に移る》

 検察官「被告がランチャーを撃ったときの状況ですが、インパルス銃を撃ちましたか」

 証人「はい」

 検察官「痛みを感じたときと、インパルス銃を撃ったときの前後関係を確認させてください。弁護人の質問に混乱していたようですから。端的に答えてください。どっちが先ですか」

 証人「SSが先に撃ってきました」

 検察官「聞きたいのは、痛みを感じたとき、インパルス銃を撃ったときのどちらが先かということです」

 証人「インパルス銃を撃ってから痛みを感じました」

 検察官「時間の間隔は?」

 証人「1、2秒ぐらいです」

 検察官「当時はどんな靴を履いていましたか」

 証人「長靴です」

 検察官「靴底の構造は?」

 証人「ゴムより堅い生地です」

 《検察側の最終尋問が終了した。続いて多和田裁判長の両脇に座る男女の裁判官が証人に尋問していく》

 裁判官「2月11日に目のかゆみや痛みを感じてから顔を洗うまで、どれぐらいの時間がありましたか」

 証人「大体5分かかったかどうかぐらいだと思います」

 裁判官「その5分というのは、もともといた左舷上甲板から船首に移動して船内のシャワールームに行くまでの時間ですか」

 証人「はい」

 裁判官「その後は通常業務に戻ったんですか」

 証人「はい。多少痛みはありましたが、戻らないと行けなかったので戻りました」

 《ベスーン被告は、前屈みになって裁判官をじっと見ている。尋問は、証人が事件当日に装備していたインパルス銃の中身に移った》

 裁判官「インパルス銃の中身が自分の顔にかかることもありえますか」

 証人「そうですね。全くかからないってことはないかもしれません」

 裁判官「これまでインパルス銃に水以外のものを入れたことはありますか」

 証人「いや、ありません」

 裁判官「先ほどシャワーで顔を洗ったと言っていましたが、その水はどこからの水ですか」

 証人「もともと船のタンクがあって、そこから使っていると思います」

 裁判官「タンクの水はインパルス銃の水と同じですか」

 証人「船内にはタンクがいろいろあって、どこのタンクの水を使っているかは分かりません」

 《裁判官は、証人らがやけどをした原因について、ベスーン被告の発射した酪酸以外だった可能性があるか確認したかったようだ。続いて酪酸を浴びた直後の状況について質問していく》

 裁判官「目や顔の痛みを感じてから船首の方に行って船内に入ったんですよね? 船首に向かう途中で、被害の大きかった男性に近づいたんですよね?」

 証人「はい。うずくまっているところを見つけました」

 裁判官「彼に近づくに連れて痛くなったり、痛みが弱まったりしましたか」

 証人「痛くなってきました」

 裁判官「ところで、日本に帰ってきてから病院に行ったときに見せた写真は、いつの写真でしたか」

 証人「多分、事件の次の日の写真だと思います」

 裁判官「シャワールームから出て現場の片付けをしたと言っていましたが、具体的には何を使ったんですか」

 証人「中和剤と聞いていますが初めて使ったので…。ほかに消火ホースやインパルス銃などを片づけました」

 裁判官「酪酸の瓶の片付けはしていないんですか」

 証人「僕自身はしていません」

 裁判長「中和剤をまいた範囲は?」

 証人「左舷側の瓶が破裂した辺り一帯です」

 《多和田裁判長と2人の裁判官による尋問はここで終わり、尋問は終了した》

 裁判長「長時間おつかれさまでした」

 《裁判長が証人の労をねぎらうと、証人は足早に法廷を後にした》

 裁判長「本日の審理はこれで終わります」

 《「分かりました」という意思表示をするかのようにベスーン被告は一度、頷いた。傍聴人が先に退廷する中、ベスーン被告はまっすぐ、検察側の方を見つめていた》

 《次回公判は28日午前10時から、引き続き証人尋問が行われ、起訴状で顔面を負傷したとされている男性乗組員と、母船「日新丸」に乗っていた船医が証言台に立つ予定だ》 =(完)

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検察側、取り調べ録音テープなど開示 「狭山事件」で(産経新聞)

 昭和38年に埼玉県狭山市で女子高生が殺害された「狭山事件」で、強盗殺人などの罪で無期懲役が確定し無実を訴える石川一雄さん(71)の第3次再審請求の3者協議が13日、東京高裁(岡田雄一裁判長)であった。検察側は、逮捕当時の取り調べの一部を録音したテープなど36点の新証拠を弁護側に開示した。

 事件をめぐり新たな証拠が検察側から開示されたのは第2次再審請求中の昭和62年9月以来約22年ぶり。開示は昨年12月に東京高裁が出した証拠開示勧告に基づくもの。

 弁護団によると、今回開示されたのは、石川さん逮捕約1カ月後の昭和38年6月の取り調べの一部を録音したテープ9点。石川さんが犯行を認めている場面が録音されているとみられる。当時、録音することは石川さんに伝えられていないという。石川さんは逮捕当初は犯行を否認していたが後に認め、公判段階で再び否認に転じている。

 ほかに開示されたのは、有罪の有力な証拠とされた被害者宅に届いた脅迫文の筆跡鑑定の資料に使われた石川さん直筆の領収書など。また、犯行時間帯に現場の近くにいた男性の調書なども開示された。

 一方、弁護側が求めていた殺害現場の血液反応の検査報告書や現場の様子を録画した8ミリフィルムについては検察側が「不見当」と回答。取り調べの際の捜査員らによるメモ類も開示されなかった。

 東京・霞が関の司法記者クラブで会見した弁護団は、「以前、2点の録音テープが開示されたことがあり存在は知っていたが、ほかにもあることは把握していなかった」としており、「今回の開示は大きな前進だが、弁護団がまだ把握していない証拠を検察側が隠している可能性がある」と指摘。今後も更なる証拠開示を求めていくとしている。

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 葛飾区は10日、図書館の予約や貸し出しなどのシステム構築に使用された約1500枚の画像データが入ったノートパソコンが紛失したと発表した。データの中には図書館利用者11人分のカタカナの名前、電話番号などの個人情報が含まれていたという。

 区によると、ノートパソコンは図書館システムを構築し、保守・管理している受託業者の所有。同社社員が4月27日、京浜急行電車内で居眠り中、ノートパソコンが入ったカバンを盗まれた。データは本来、消去すべきものだったが、消し忘れていたという。

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